今月の推薦句 現代俳句同人誌「卵(らん) の 会」
100号(2009年8月) 川崎益太郎 選
蛇の衣枝に懸かれり妻の留守 間瀬奈津子
男の弱さに紫陽花いろのムチを打つ 根津 洋子
蚊を打ちてひとりの闇を深めたる 丹羽美智鴣
ビヤホールふるさと遠き者ばかり 首藤 明弘
蜘蛛の糸丑三つ時を仮縫いす 瀬戸優理子
101号(2009年9月) 川崎益太郎 選
空っぽの乳房ふくらむ百合の花 奥山 和子
日蝕や無精卵の目玉焼き 奥山 和子
冷奴家事いっさいを省略す 岩井 蘇翠
耳底のつめたきホタルブクロかな 月野ぽぽな
負け組に入れられ朝から蜘蛛に雨 平子 純
102号(2009年10月) 林 英男 選
したたかに過ごす猫居る夏の家 伊丹 余一
とりあえず掛けし籐椅子沈みけり 武川 琴理
生きんとて夏百日の髭を剃る 野崎 妙子
女生徒は百円ショップの秋を買う 松井 政典
父になき余生を生きて泥鰌鍋 首藤 明弘
103号(2009年11月) 林 英男 選
まっとうな道からはずれ大花野 瀬戸優理子
十三夜どこか悲しき般若面 湯浅真理子
朝から雨刈田癒してゆくように 月野ぽぽな
吾亦紅昨日と違うわれがいる 野崎 妙子
曖昧な日々を海鼠の時間かな 徳永 義子
104号(2009年12月) 林 英男 選
手の平になじむ石ころ冬深し 伊丹余一
冬のビル一番人に近くなる 月野ぽぽな
脇役ともなれず冬木の瘤でいる 岩井 蘇翠
烏瓜たぐれば系図見えてくる 野崎 妙子
枯蟷螂一人芝居の幕下ろす 武川 琴理
105号(2010年1月) 白井 重之 選
窓のある封書の届く年の暮 渡辺 淳子
陽だまりは老人製造工房です 岩井 蘇翠
いつか産んだ気がするとうがん抱いている 岩井 蘇翠
おしくらまんじゅう我れのふぐり安定す 稲葉 千尋
一つしかない身体に触れる枇杷の花 藤原美恵子
106号(2010年2月) 白井 重之 選
こがらしの中にわたしの駅がある 岩井 蘇翠
独り言やたらに多き冬日かな 松井 政典
いつからかすうっと運ばれてきて卒寿 徳永 義子
人体に似たる大根に躊躇いて 湯浅真理子
にわとりが空をとんだよお元日 渡辺 淳子
107号(2010年3月) 白井 重之 選
臘梅や手話の指よく透きとおる 稲葉 千尋
頑固頑迷何度聞かれても亀は鳴く 北川 邦陽
ビル一つ失くなっていて日脚伸ぶ 北川 邦陽
ラッキョウを尻から噛んで今夜は雪 園 眞智子
いろいろに生きて出口の雪あかり 根津 洋子